椿ノ華



「?!」

「ああ、申し訳ありません。

また驚かせてしまいました」

「紫野…」

「庭で紅茶でも飲んでいるのかとお探ししたのですが、

居ないものですから」

「ああ…何か用でも?」

「いえ。もうすぐ昼食です、とお知らせしたくて」

「そう。ありがとう」


葵の忠告通り、必要以上の会話はしないよう心掛けていた。


「慈愛に満ちた表情が、まるで聖母マリアの様ですね」

「…そうかしら?」


思わず苦笑を浮かべて見詰める。



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