椿ノ華
「篠山」
「はい」
「椿と二人にしろ。誰も近付けるな」
「…かしこまりました」
葵の言葉で、篠山と医者達が部屋から出て行く。
「…心配を掛けたな」
「…本当です。無茶はなさらないで、と言っていたのに」
「もう永くない事くらい、自分で分かっていた。
だから、出来る事全てを終わらせてきたんだ」
「終わらせた…?」
「ああ、これで俺は解放された」
そう言って微笑む葵の笑顔は、清々しいものだった。