椿ノ華



がくんと、膝から崩れ落ちる。


「でももう手遅れよ?私と壱は婚約したの。

貴女は邪魔者。あの時の私と同じ」

「…あ…」


―「絶対に許さない…!!」


「あの時の憎しみは、この何年間ずっと忘れなかったわ。

貴女という雌豚が!私から!葵さんを奪うなんてね!」


乾いた音と共に、頬を叩かれる。


「あらあ、ごめんなさい。血が出ちゃったわねえ?」

「え…?」


頬からは、麗羅の爪で切れた傷から血が流れていた。



< 227 / 243 >

この作品をシェア

pagetop