椿ノ華



「名前が椿だから、やっぱり赤が似合うわねえ?」


くすくすと嫌味な笑みを浮かべる麗羅。


「知ってるわよ?貴女の出生の真実」

「?!」

「蓮人」

「はい、麗羅様」


すっと、執事服の内ポケットから一枚の紙を取り出す紫野。


「南十字 椿。父親は南十字 啓志、

母親は使用人である三条 桜(さんじょう さくら)。

当時父親は南十字 葵の母親と結婚していたが、

三条 桜と関係を持ち、南十字 椿が生まれる。所謂愛人の子。

だが、妊娠を知らせる前に三条 桜は南十字家を去った。

南十字 啓志は三条 桜に会いに行く途中、事故死。

三条 桜も、数年前に病で他界。

独り身となった所を、祖父である南十字 啓一郎に引き取られる」



< 228 / 243 >

この作品をシェア

pagetop