椿ノ華
「椿様、椿様」
「…ん…?」
目を擦り、体を起こす。
視界に映る部屋は、住み慣れた小さなアパートの部屋ではなく、
今日から住む屋敷の一部屋。
啓一郎が椿の為に急いで準備させたという、
赤と茶色を貴重とした高級感のある部屋だった。
「…私、寝てたんですか」
「はい、ぐっすりと。お引越しでお疲れですものね。
ですが、もう準備して頂かないと…」
「ごめんなさい、ありがとう」
「いいえ。お召替えのお手伝いをさせて頂きます」
…お召替え?