椿ノ華
今にも泣き出してしまいそうな目で麗羅を見詰める紫野。
「…いいわ、蓮人」
「でも…」
「ここまで証拠があるの。言い逃れは出来ないわ。
それに、これ以上足掻いて醜態を晒す必要も無い」
「…麗羅、様」
「…迷惑掛けたわね、蓮人」
「…いえ、僕は…僕は、一生麗羅様のお傍で仕えると、
貴女様に拾われた時に決めたのです。後悔はしていません」
涙を堪えて、強く言い放った紫野。
麗羅は、柔らかく微笑んだ。