椿ノ華
「藤堂様」
「ああ、葵くん」
「ご無沙汰しています。お世話になっております」
「いやいや、此方こそ。
其方の綺麗なお嬢さんは何方かな?」
目線を向けられたので、にこりと微笑んでおいた。
「私の妹です」
「妹?…確かに、よく言われれば似ているね。
だけど、君に妹が居るなんて話は聞いた事が無かったけど」
「ええ、離れて暮らしていたもので」
「成程、訳ありか。まあこの世界ではよく聞く話だね」
「ええ」
「何にせよ、綺麗なお嬢さんを連れていて羨ましいよ。
美男美女でお似合いだし。またね」
「はい」
ひらりと手を振り立ち去った"藤堂様"。