椿ノ華
「…あの、私、
母から家族は居ないと聞かされているのですが…」
「その件につきましても、
啓一郎様からきちんと説明したいとの事です」
「説明って…」
「真実が知りたいなら、私の元へ来なさいと。
啓一郎様からの伝言です」
「……」
真実が、知りたかった。
―・・・
「…うっわぁ…」
連れて行かれた先は、引いてしまう程の大豪邸だった。
「啓一郎様の書斎に御案内致します」
「あ、はい…」
"秘書"という人に着いて行こうと、
辺りを見回していた目線をふと真正面の階段の先に遣った時。
「……」
目を見張る程綺麗な顔をした男性が居た。