椿ノ華



「…あ、あの、ラブシーンおっぱじめないでください…」

「ああ、友達?初めまして」


特に気にする様子もなく、にこりと珠里に微笑み掛ける壱。


「ていうか…誰?椿の彼氏?」

「ち、違うよ?!この人は先日のパーティーで出会った人で…」

「成瀬川 壱。聞いた事あるよね、西園ファンドの娘さん?」

「なるせがわ…って、え?!

どうして成瀬川ホテルのご子息が…」

「どうしてって、俺この学園の理事長の孫だし。卒業生だし」


あくまで爽やかな笑顔を浮かべる壱。


「で、彼女の兄の幼馴染なの」

「へーぇ…」

「だからさ、椿さん借りてくね」

「「えっ?!」」


何で、と聞く間も無く。
嫌だ、と抵抗する間も無く。

手を引かれ、校門先に停まっているベンツに乗せられた。



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