椿ノ華



自然と顔が綻ぶ。


「このレストランにはよく来るんですか?」

「いや、初めて来たんだ。

どんなものかずっと気になっててね」

「へえ…」

「初めて一緒に来た人が君で良かった」


不意に手を取られたと思えば、左手の甲に壱の唇が落ちた。


「…っ!」


みるみるうちに、椿の顔は赤く染まる。


「弟の女好きもたまには役に立つものだね」

「…弟さんがいらっしゃるんですか?」

「ああ、圭(けい)っていうんだ」

「女好き…なんですか?」

「はは、うん」



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