椿ノ華
それからも、何度か壱と会った。
「壱さん!」
「ああ、おはよう椿」
「ごめんなさい、待たせた?」
「いや、いいよ。
女性を待つのは男の喜び、ってね」
「ふふ」
「じゃあ行こうか」
「ええ」
自然と壱の腕に自分の腕を絡める。
「今日は何処に行くの?」
「んー…まだ特に決めてないんだ、
何処か行きたい所ある?」
「私は特に…あ、映画」
「映画?」
「ええ、観たいのがあったの」
「じゃあ映画館だね」