椿ノ華
「…美味しい」
「でしょう?」
学生時代によく行っていたファミレス。
椿お勧めのハンバーグを食べる壱。
「君は学生時代、よく此処に来てたんだ」
「バイト先だったから」
「へえ…」
壱は物珍しげに辺りを見回す。
「そういえば、ずっと気になってたんだけど」
「何?」
「君って、小さい頃は葵と離れて暮らしてたって言ってたよね」
「…そうよ?」
「何か訳ありなのかな、ってずっと思ってたんだ。
そういうの、この世界じゃ珍しい事でも無いし。
だけど君は…なんていうか、気品もあるし、
小さい頃から当たり前に財閥の令嬢として育てられた様にも見えるし」