椿ノ華



「お兄様が生まれた4年後くらいに、私が生まれた」

「…父親は?」

「私を身篭っている母に会いに行く途中で、事故に遭ったそうで…。

だから、私は顔も知らないの。

南十字家に住んでから、お祖父様が写真を見せてくださったけど」

「君は、お母さんと一緒に住んでいたの?」

「ええ、つい最近亡くなったけど…」

「…そっか。それで南十字家に住むようになったんだ」

「お祖父様が私に会いにきたの。正確には秘書が、だけど。

真実を教えてくれて、家族になろうって」

あの時は本当に嬉しかったな…



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