椿ノ華
「それまでは、どんな暮らしをしていたの?
話を聞いてる限り、バイトとかファミレスとか…少なくとも、
今みたいな暮らしじゃなかったのかな?」
「ええ、今に比べたら…比べなくても、凄く貧しい暮らし。
高校や大学に行くのすら危うかったから」
「え、でも…僕の後輩だよね?高校も大学も成瀬川でしょ?」
「特待生なの、特進クラス」
「ああ、成程…学費免除って事か」
「そう。私は行くつもり無かったんだけど、母がね」
「お母さんは君に似て逞しい女性だったんだね」
「ふふ、そうね…そうだと思う」
母を思い出し、柔らかい笑みを浮かべた。