龍蝶
それからいろんな話を陸とした。
先生になる時、嵐士がどうしたー、とか
誓と嵐士、どっちが担任になるかでもめたー、とか。
“アソコ”にいる時の話はあれからしなかった。
ウチも、陸も避けてた。
何時間かたったころ、気づいたらもう雨はやんでて
夕日が綺麗に窓にうつってた。
「佳乃、もう帰るだろ?」
「うん」
「送てってやるよ。家まででいいか?」
カバンから車の鍵を取り出してちらつかせる陸。
「んーん。咲紀に会いたいから、陸の家まで行っていい?」
一瞬目を開いた陸は、すぐ笑顔になって
「おし。」
いつかみたいに、いたずらに笑った