龍蝶
咲紀の声も、陸の声も全て無視して外に出た。
夕日が雫を照らしてる。
キラキラ光るそれはどこか悲しく寂しかった。
陸たちの家から既に500mほど離れた時カバンの中で震えるケータイに気づいた。
カバンから取り出すと陸の名前。
ゆっくり白いケータイを開く。
パキッ――
無機質な音をたてて割れたそれはもはやなんの意味もなく、ただのガラクタになっていた。
真っ二つに割れたケータイをそばにあった自動販売機の隣にあるゴミ箱に入れた。
真っ二つに割れ、何の意味もなさなくなったそれは
まるで
“私”みたいだった――――