龍蝶
次の日
ウチは遅刻ギリギリに着くように家を出た。
栞とも陸とも、過去の“私”を知ってる人たちに会いたくなかったから。
とか言っても嵐士と誓は担任と副担だから会わないわけには行かない。
出席日数足りなくて留年とかしたらそれこそありえない。
高校卒業が最低条件だから。
校門をくぐって校舎に入るとHM開始のチャイムがなっていた。
少し急いで教室に向かう。
この学校広いから靴箱から教室までの距離が長い。
まぁ、HMなんて出る気はないけど。
ただ今日はやることがある。
最後に私が、あたしが、ウチではなく、本当の“佳乃”としてやることが。
教室に向かって扉を開ける。
「佳乃・・・」
嵐士の声が聞こえたけど構わずに席に着く。