龍蝶
どこまでも馬鹿だと思う。
でも、最後だから。もう、消すから。
最後の“私”の願い。
屋上の扉を迷いなく開け放つ。
やっぱりそこには5人揃ってて。
何故か、泣きたくなった。
無性に泣き叫びたくなった。
「佳乃」
当たり前のように呼ばれた名前に少し寂しくなる。
全てを、話したくなる。
「どうした」
茶色い髪の間からしっかりコッチを見てくる咲羽。
「あなた達に、お願いがあるの」
ウチからではなく、“私”からの
最後の、一生のお願い。