龍蝶
「マジ、かっけぇよなぁ!!!咲羽さんたち!」
「だよな!!!!オーラがぱねぇ!」
咲羽たちについて熱く語る生徒たちの顔は輝きに満ち溢れてた。
カバンを持って教室から出た。
見てるのが辛かった。
輝いてる皆の顔が羨ましかった。
どうして、どうして、“私”なんだろうか。
なぜ、普通が手に入らない?
特別なんていらなくて、ただ普通が欲しかった。
地位なんていらなくて、ただ居場所が欲しかった。
ローファーに履き替えて外に出る。
まだ、日は高い。
ざぁぁと、冷たい風が吹いた。
その風は全てを凍らせるような、冷たい、恐ろしい風だった。
もしかしたら、これが全ての始まりだったのかも知れない