龍蝶




地を這う低いけたたましい爆音にウチは跳ね起きた。





何!?





何重にも重なり、響く爆音に混ざり男たちの笑い声や怒声が聞こえる。



無意識のうちにスイッチを入れた。




音の方に視線を放れば、運動場に数台の大型二輪が走り回っている。





立ち上がって豆粒ほどに見える下のやつを見る。







「―――っ!?」





それに気づくまで然程時間はかからなかった。





心臓が鷲掴みされてるみたいに苦しい。



呼吸が不規則になる。




頭よりも何よりも先に体が動いた。





屋上の扉を音を立てて突き飛ばし、全速力で階段を駆け下りる。




走りながらでもわかるくらい生徒たちは焦りをかもしだしていた。




それを見て更にスピードを上げる。





昇降口に着けばすかさず先生たちに取り押さえられた。




「やめなさい!!教室に待機してるんだ!!!」





殴り飛ばしてやろうかと思った。





< 133 / 173 >

この作品をシェア

pagetop