龍蝶
それと同時に益々大きくなったエンジン音。
耳障りだ。何もかも。
目障りだ。全てが。
「!?佳乃!!?」
声の方に目をやれば嵐士たちがいた。
でも、今それに答えてる時間はない。
栞を助けなきゃいけないんだから。
・・・・人質になってる栞を、助けなきゃいけないんだから。
前の集団を見据える。
乗り込んできた奴らと戦闘態勢で向き合ってる雷龍の幹部メンバー。
そして敵の中心に人質として捕われている栞。
そこに迷わず足を進める。
嵐士たちの呼ぶ声も聞こえたけど、振り返らなかった。
ただ一点だけを、栞だけを見つめて前に進む。
「!!!?佳乃ちゃん!!?」
不意に振り返った悠依と目が合う。
悠依の声にその他全員が振り返って目を丸くする。