龍蝶
久しぶりに呼ばれた名前に涙腺が崩壊した。
もう、立ってられなくて、膝から崩れ落ちた。
「佳乃・・・」
もう一度呼ばれた名前にもう涙を止めることなんて、できなかった。
止めても、止めても流れてくる涙。
「佳乃。もう、いい」
ゴシゴシ顔をこするウチの手を止めたのは嵐士だった。
「もう、大丈夫だ」
もう、何が何だかわからない。
なんで人前で泣いてるのかも。
こんな失態をどうして晒しているのかも。
どうして、ウチにこんなに優しくしてくれるのかも
「佳乃。頑張った。よく頑張った。佳乃は、頑張った」
そう言って優しく抱きしめてくれた嵐士。
そこでやっと気がついたんだ。
自分が震えてることに。
なんで、震えてるのか最初はわからなかった。
だって、ウチ全国トップの総長してて・・・
でも、怖かったんだ。
栞がいなくなりそうで、一生あえなくなりそうで
怖かったんだ