龍蝶




「っ・・・」




あぁ、もう。



馬鹿だ、ホント馬鹿だ。



頑張ってきたのに、強がってきたのに



なんで、こんなになっちゃうんだろう。




「っ」




これ以上涙を流さないように嗚咽を飲み込む




「佳乃、後で理事長室に必ず来い。全て終わってからでいい。絶対来い。逃げんじゃねえぞ。佳乃はやりたいようにやればいい。お前の道だろ」






そう言って、出て行った陸。


その後ろ姿は、いつかも見た後ろ姿だった。





「陸・・・・陸・・・!!」





何度も名前を呼んでみるけど、振り返ってはくれなかった。



どうしよう、陸、怒ってる・・・?



ヤバイ、どうしよう



不安だけが先走ってく。




「佳乃、んな顔すんなよ」




抱きしめてくれる嵐士が優しい声で、名前を呼ぶ




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