龍蝶
「佳乃」
強い芯の通った咲羽の声に振り返る。
「雷龍の、姫になれ」
まっすぐ通った強い漆黒の瞳が“私”を見てる。
だからウチも“私”として向き合う。
「ごめん」
「・・・」
「雷龍の姫にはなれない。仲間にも、なれない」
私の仲間は、あの人たちだけだから。
私だけがそう思ってるだけで、あの人たちが仲間だと思ってなかったとしても
それでも、私はあの人たちを、あの人たちだけを仲間だと思ってる
ずっと、これから先ずっと、何があっても
「ごめん」
ピン、と空気が張り詰めたきがする。
「誘ってくれてありがとう」
しっかり咲羽の目を見据える。
もう、逃げたりなんかしない。