龍蝶



「佳乃、もう二度とあんなことすんじゃねぇ。こっちがどんだけ冷や冷やしたとおもってんだ」





陸がしかめっ面で、そう言う。


あぁ・・・変わらないなぁって思う。


昔からそうだった、陸は何でもわかってるんだ。


私のこと、全部。


それでも何も言わずに、私が言うまで待っててくれる





「ホントだ、馬鹿。冷や汗もんだったぜ」


「ははっ、だからよな」


嵐士も誓も。変わらない





「陸たちもでしょ。まぁ、陸たちが外に居てもビックリはしなかったけどね」




他の先生方は安全なところで自分の身を案じているとき、陸たちだけは外で体をはっていた





「あったりめぇだボケ。栞ちゃんだったんだから尚更だ」



「・・・うん。ありがとう」




当たり前だと、思ってくれてるのがすごく嬉しくて泣きそうになった





「栞・・・怪我は?」



「ううん、大丈夫・・・」




ぎこちなく、言葉を交わす。



久しぶりに交わす言葉がこんな会話だなんて、



そう思う私は、わがままなのだろうか



< 163 / 173 >

この作品をシェア

pagetop