龍蝶
「ごめんね栞。また、守れなかった」
そういえばゆっくり首を横にふった栞
「もう、終わったから、大丈夫」
「うん」
涙目な栞は笑った。
どこまでいっても、大切だと思う気持ちは変わらないだろう。
いつまでたっても、大切だと思う気持ちは揺るがないだろう。
でもいつか、この想いを完全に封印しなければならない。
なら、早く消した方が楽だと思った。
栞も、その方が幸せだと思った。
でも、どうやら違うらしい。
いつかこの想いを封印する時まで
完全に私じゃなくなるまで、この思いは大事にしてていいみたいだ。
例えそれが、自分の身を削ることになっても。