龍蝶
「心配してくれてありがとうございます。でも
泣くほど人間腐ってないんで。」
顔はニッコリ笑顔作って、目の前の奴を見据える。
少し強くなった口調はしょうがない。
手を払って、また前を向く。
意外にも簡単に振り払えた手。
チッ。最初からこーすれば良かった。
めんどくさい。ホントめんどくさい。
校舎に足を踏み入れる。
今日からここの生徒。“ウチ”はこの無駄にでかい校舎の中でひっそり暮らす。
誰とも関わりを持たずに、一人で。
あとで、アルバムとか見て、こんな奴居た?みたいな存在でいい。
だって、どうせ“ウチ”は“私”ではないんだから。