龍蝶
何を、言ってるかがわかんなかった
んー・・・と・・・?
「さん、いらねぇ」
あぁ、そういうことか。
でもね、
「咲羽さん」
さん付は、やめないよ?
ラインなの。
ウチなりの、ラインなの。
「咲羽さん」
不満そうに顔を歪める、咲羽。
雨がまた、強くなった気がした。
「さん付けは、やめませんよぉ?そんなことしたら、皆さんに怒られちゃうしぃ」
空が、唸る。
光が、怒ってる。
あの人が、渓斗さんが、怒ってる。
わかってるよ、渓斗さん。
“あたし”には似合わないね。
でも、今は“ウチ”なんだ・・・