龍蝶
屋上の扉がいつもより、重かった―――――
ビチャビチャの重い制服を引きずって理事長室に向かう。
こんな姿見せたら怒られる、とか
いつもなら考えられるのに、全然考えられなかった。
頭に何も浮かばなかった。
ただ、陸に会いたかった。
栞に、会いたかった。
大切な人達に、会いたかった。
やっぱり大きすぎる理事長室の扉の前に立って、ノブに手をかける。
ガチャ―――――
入った瞬間、陸の目が大きく見開かれた。
栞は、いないみたい。
嵐士と誓は、授業かな・・・
「佳乃・・・どーしたんだよ」
「雨に、濡れちゃった」
少し笑ってみせると、陸の顔が少し歪んだ