龍蝶
「着替えの、制服あっから・・・着替えろ。俺は、外出てるから。着替え終わったら、呼べよ」
奥の扉から制服を取り出してウチに渡してくる陸。
目すら合わせずに出ていこうとする陸の腕を咄嗟に掴んだ
「陸・・・」
弱々しい声が、口から漏れる。
その声に、ゆっくり振り返った陸の顔は、悲しそうで、苦しそうだった。
「ごめん・・・」
陸のその顔の原因は間違いなく、ウチだろう。
ごめんね、陸。
そんな顔させて、ごめん。
でもね、もうそんな顔させないよ。
「佳乃、大丈夫だから、着替えろ。」
そう、優しく笑った陸は、今度こそ理事長室から出て行った。
陸。
ウチね、陸にその顔させてるのが、すごくすごく嫌でね。
させてる自分が、大ッ嫌いだった
でもね、もうさせないよ。
もう、タイムリミットはそこまで迫ってる―――――――