私と彼女の関係
「知世って美幸の親友やねんて~」
他の友達から聞かされて、私は絶句した。
私は唯一の親友を取られてしまった。

美幸はいつだって、他人の真似をする。
可愛い文房具を他の子に自慢されたなら、
次の日には、同じ物を買ってきては、
自分が先に買ったんだと主張する。
私の嘘つき以上に、美幸もプロだった。

私は悔しくて、悔しくて。
そんな悔しさを、
知世にぶるけるしか無かった。

「うちと親友じゃなかったん!?」

私は彼女が謝ってくると思っていた。
自分を捨て、美幸を親友の座に置いた事を。

「うんっ。親友やで」

一瞬止まってしまった。 訳が解らない。
親友って一人じゃないの?
親友って特別なんじゃないの?
私は泣くことも怒ることも忘れていた。
知世にしてみれば、
当時仲が良かった、
私達二人を親友だと思ってくれていたのだ。
どっちからも
「親友やで」
と言われれば
「うんっ。親友やで」と笑顔付きで返してくれる。
優しい子なのだ。
人を傷つけることを知らない。
天使の知世を十分、理解してるつもりだった。
「ごめん。うーちゃんとは親友とちゃうねん」
自分の中で、
知世が言わなかった台詞が頭を回ってる。
私は、彼女の偉大さにひれ伏すしかなかった。
同時に、彼女を独占したい気持ちも強まった。

「じゃぁ、これからは"大親友"な。
 大親友は一人しか作れへんねんで」

勝手に大親友ルールをあみだし、
彼女を私だけの物にしようと思った。
私の必死さを彼女の優しさが包みこんでくれた。
私達は大親友になった。
今度こそ、美幸に勝ってやった。

それからは、
美幸から”大親友”の存在は聞かされ無かった。
知世は約束を守ってくれたのだ
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