そらいろ
高いところが好きだった。
正確には、高いところから眼下に広がる景色を見るのが。
おもちゃみたいに小さく見える世界に、幼い頃の透は何と無くホッとしていたのだ。
『とーるは何で高いとこが好きなの?』
『ここに、おれをなぐるる人はいないから』
「透ー、俺やっぱ帰るわー」
突如一瞬の追憶を破った大翔の声に、透は我に返った。
「あ、そう」
「美少女ちゃんも見当たらねぇし。飽きたし。透はずっと下見てるし」
「ああ悪い悪い」
「心が篭ってない! つーか何が楽しくて下見てんの。落ちんなよ」
「落ちねぇよ」