そらいろ
えぴそーど いち
始業式、という単語が好きでない人は多い。
しかし、心底本気で嫌いな人間は意外と少ないものだ。
かく言う透(とおる)自身も面倒臭いという思いしかなく、そこまで嫌いな訳ではなかった。
嫌う理由もあまりない。
しかし透の血の繋がらない同い年の妹は、始業式を本気で嫌っている。
あんな調子ではクラスでも良く思われてはいないだろう。
(大丈夫かな、瑞姫(みずき)は)
なんて、考えても仕方のないこと。
作った愛想笑いに素の苦笑いを滲ませながら、透は始業式直後の騒がしい教室を見回した。