キミが教えてくれた
「…さ…く…?」
少し弱った京香の声が聞こえる


「京香っ」
俺はあまりにも嬉しすぎて涙が止まらなかった

「…ご…め…ん……ね」



ピーピーピー


京香の息が絶えた


嘘…だろ


「う゛あ゛あ゛っ」
俺は混乱して

泣き崩れた

「落ち着いてください」
という看護婦さんの声も聞こえなかった

「朔良っ」
お茶を買いに行っていた春美が慌てて帰ってきた

俺は京香の手を離したくなかった


離したら



俺が俺じゃなくなる気がして…
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