密の味~欲しがる男~
優一は特に気を悪くした様子もなかったけど。
こりずにまた会話を続けた。
「君は、綺麗になったね」
「……は?」
「随分感じが変わって、見違えたよ」
久しぶりに会ったせいかやけに饒舌だ。
思わず嫌味を口走ってしまう。
「貴方は口が上手くなったわ」
「本当の事だよ」
「……」
それっきり無言のまま、車は街を走り続けた。
変なところで会話が途切れ、妙に居たたまれない気分になる。
早く着いて。
そう願いながら。
沈黙する車内からじっと窓の外を眺めた。