さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
「背、すごく伸びたよね」
悲しい話題を無理やり変えるように、隣に腰掛けるマイケルの、頭のてっぺんを私は見つめてみる。
私がくしゃくしゃに撫でたせいで少し癖のついた髪が、ランプの光に淡く照らされている。
「…多分今もう、
お姉ちゃんより大きいよ」
「え、うそ。
ちょっと立ってみて」
「ほら」
立ち上がる時の男の子らしい動作。
いたずらっ子のように視線を絡めてくる、その表情。
そんな些細な仕草に、不覚にもドキドキしてしまう。
「うわ、ホントだ…
ちょっとショック」
「あはは、やっぱり追い越しちゃってた。
お姉ちゃん、そんなに大きくないもんね」
本当にいつの間に、こんなに伸びていたんだろう。
毎日見てたのに、全然気付かなかった。
私の頭のてっぺんは、マイケルの耳くらいの位置だ。
「僕もクリスくらい、大きくなるかなぁ」
「なるんじゃないかな。
骨格とかそういうのが、似てる感じがする。
まだまだ伸びる体格だよ」
私のその言葉に嬉しそうに笑うマイケルの笑顔は、やっぱり少しずつ大人びてきていて、
長い睫毛や彫りの深さが、とても綺麗に感じた。
伏せたまぶたの影が、白い頬に落ちる――――