古城の姫君
 ラティスフォリアの兵士たちに攻めこまれたアプリコット城は、夜になると昼の騒然とした雰囲気とはうってかわって、何事もなかったかのように静まりかえっていました。

 お城の中には、無残に殺された人々の死体がいくつも転がっています。
 
 その亡骸(なきがら)は、兵士たちの手でアプリコット城の前にある広大な土地を掘って埋められていきました。

 アプリコット城の前に、小さな土の山がたくさんできました。その下には殺された人たちが眠っています。

 2日と半日かけてすべての死体が埋め終わると、ラティスフォリアの兵士たちはアプリコット城から撤退しました。
 兵士たちは国に帰る道すがら、勝利の喜びに酔いしれました。


 こうして「マリーベル王国」は戦争に敗れ、地図上から姿を消し、「ラティスフォリア」の一部になったのです。
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