古城の姫君
 残されたクロークスは、傷口をおさえたまま、走り去っていくスウォードの背中を見送っていました。

「クロークスさま、大丈夫ですか?」
 ジンジャーが駆け寄ってきて、クロークスの傷口を見ました。

「少しかすっただけだよ」
 服の上からだったので、少し皮膚を切っただけでした。

「トレニア国と戦わずに済みました。本当に、ありがとうございます」

 クロークスは4人の女性たちに深々と頭を下げ、
「宮殿に来てください。歓迎します」
 と言いました。

 その視線の先には、リリィもいました。
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