古城の姫君
 スウォードとハイドには、両親がいません。
 母親はハイドを生んだあと、病気で亡くなりました。
 そして、父親も病気で亡くなっていますが、暗殺ではないかといわれています。

 もし自分がいなくなったら、ハイドがひとりぼっちになってしまう。
 そうなったら、父親を暗殺した人間が誰なのかわからないまま、うやむやになる。

(俺は今、死ぬわけにはいかないんだ……。ハイドのためにも)

「お兄さま、鎧はどうしたんですか?」

 ハイドのその言葉で、スウォードは自分が鎧を忘れてきたことに気がつきました。
 
 クロークスと公平に戦うために鎧を地面に脱ぎ捨て、そのまま帰ってきてしまったのです。

「忘れてきた」

 それを聞いたハイドは笑いました。

「でももう使わないものだから、いいんじゃないですか」

「そうだな」
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