古城の姫君
 場所は変わって、ラティスフォリアのルピナス宮殿では、大広間に4人の女性が招かれ、褒美として家来から報奨金が手渡されました。その金額はかなりの大金でした。

 3人の女性が報奨金を受け取り、最後にリリィに手渡されようとしたそのとき、

「王様、私はお金が欲しくて名乗り出たのではありません」
 と言って、リリィは報奨金を受け取ることを拒否しました。

「国を守ってくれた人に何もしないわけには……」
 クロークスはそう言って、リリィを見ましたが、リリィは報奨金を受け取る気はまったくないようです。
 
 するとリリィは、
「それなら、お願いがあります。私をここで働かせてくれませんか」
 と言いました。

 それを聞いて驚いたのは、クロークスの隣の王座に座っていたカンナです。

「ずいぶん変わったことを要求するのね。そういえばちょうど別荘の使用人が足りなかったのよ」
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