古城の姫君
 しかし、そのアプリコット城のまわりにある地面に、誰かがたくさんの木を植えました。

 その木は、春が近づくと花を咲かせる、蝋梅(ろうばい)、紅梅、白梅、そして桜の木でした。

 おそらくお城の近くに住む、元マリーベル王国の誰かがしたことでしょう。もしかしたら、花の咲く木を植えることで、アプリコット城でなくなった人々へのたむけの花にしたかったのかもしれません。

 誰かが植えたそのたくさんの木は、空に向かってぐんぐんと枝を伸ばし、大地にしっかりと根をはりました。
< 12 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop