古城の姫君
「あの、もしよかったら、これからどっか行きませんか?」

 ナンパです。それも一国の王子が、会ったばかりの女性をナンパしています。
 
 それを見たジンジャーはクロークスに

「なにしてるんですか」

 と言ってたしなめました。
 そしてクロークスの耳もとに顔を近づけると、小さな声で耳打ちしました。

「あなたには婚約者がいるんですよ」

 そうです、クロークスには婚約者がいるのです。
 といっても、まだその女性とは二回しか会ったことがなく、その上お互いのことをいまだによく知りません。
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