古城の姫君
 カルミアにのぼせてしまったクロークスの隣で、冷静に二人の会話を聞いていたジンジャーは、さっき見た光景を思いだしていました。

 モップがひとりでに動いていた。

 あれは、どう考えても、ここにいたカルミアというこの女性が――

「ジンジャー、なにぼーっとしてるんだよ」

 クロークスの声で、ジンジャーは我に返りました。

 いつの間にか二人は距離を縮め、部屋から出ようとしています。慌ててジンジャーもそれに続きました。
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