古城の姫君
   *

 トレーラーハウスに戻ってくると、クロークスは自分のベッドに横になり、ジンジャーはいすに腰かけました。

 あのあと、3人は階段をのぼってお城の屋上に行きました。
 
 そこから見える風景は、とても素敵なものでした。
 アプリコット城周辺にある蝋梅(ろうばい)や、紅梅、白梅が咲いています。たくさんの建物がひしめきあい、いろんな色の屋根がいくつも並んでいました。

 ここから見る夕焼けはいいですよ、とカルミアが言いましたが、まだ夕暮れではないので見られませんでした。

 それからカルミアは「仕事があるので」と言ったので、3人はアプリコット城を出て、クロークスはお城の前でカルミアを見送りました。


 カルミアのことで頭がいっぱいになっているクロークスに、ジンジャーは
「やめてくださいよ」
 ときっぱりと言いました。

 ですが、効果はありません。あさっての夜また会える、それが待ちどおしくてしょうがないようです。
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