古城の姫君
「あの人あまり深入りしないでくださいね。あなたのことを待ってる人がいるんですよ。それを忘れないでください」

 ジンジャーが真剣な顔つきで言うので、クロークスは黙りました。

 自分を待ってる人。カンナの顔が急に頭をよぎりました。

 ラティスフォリアに帰ったら、もうカルミアには会えなくなります。

「……」

 クロークスはベッドに横になると、寝返りをうってジンジャーに背を向けました。
 それを見たジンジャーが電気を消したので、車内は暗くなりました。

 ジンジャーが眠ったあとも、クロークスはカルミアのことを考えていました。
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