古城の姫君
 バケツを廊下に置くと、バケツの中の水でモップを濡らし、廊下をふき始めました。

 カルミアはこの宿屋の掃除をする仕事をして、生計を立てています。
 でも収入は少なく、生活は楽なものではありません。

 モップを手にしたカルミアは、周囲を見渡しました。そして誰もいないことを確認すると、小さな声で呪文をとなえました。

 すると、モップがひとりでに動きだし、カルミアの手を離れ、床をふき始めました。

 カルミアはまわりに人がいないときだけ魔法を使い、モップに掃除をさせて楽をしていました。

   *

 クロークスは、カルミアのことで対立したジンジャーと口をきかず、一人で夕食をとりました。

 カルミアはその日の仕事を終え、少し疲れた顔で家路につきました。

 こうしてそれぞれの一日が終わっていきます。


 あしたの夜はいよいよ、クロークスがカルミアに会いに行く日です。
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