古城の姫君
「ラティスフォリアには咲いてない」

 そのとき、ラティスフォリア、という言葉を聞いて、ほんの一瞬カルミアの表情が変わりました。
 が、クロークスは花を見ていて、その変化に気づきませんでした。

「クロークスさんは……、ラティスフォリアの人なんですか?」

「そうだよ」

「何をしてる人なんですか? 職業は」

 カルミアに訊かれたクロークスは、少し考えて、

「……王子かな」

 と答えました。
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