古城の姫君
「昔は良かったんですよ。アプリコット町はこんなに治安の悪い町じゃなかった。でも10年前の戦争で、ずいぶん変わってしまった……。家を焼かれた人もいるし、家族を殺された人もいる。それでもこんな風に、誰かが木を植えてくれて。昔のマリーベル王国に戻ってほしいって思ったんですかね」
カルミアは何か考えているような表情で、アプリコット城を見つめています。
「……ごめんなさい。私だけべらべらしゃべっちゃって」
「いや、いいよ別に。昔からここらへんに住んでるの?」
「ええ、そうね……」
そう言ったカルミアの眼が、少しずつ潤んでいきました。それをクロークスに悟られないよう、カルミアは顔をそむけて言いました。
「あの、また会ってくれませんか」
「それでまた会うことになったんだよ、あしたの9時に」
弾んだ声で嬉しそうに言うクロークスに、ジンジャーは
「あまり入れこまないでくださいって言いましたよね」
と、やれやれといった顔をしています。
カルミアは何か考えているような表情で、アプリコット城を見つめています。
「……ごめんなさい。私だけべらべらしゃべっちゃって」
「いや、いいよ別に。昔からここらへんに住んでるの?」
「ええ、そうね……」
そう言ったカルミアの眼が、少しずつ潤んでいきました。それをクロークスに悟られないよう、カルミアは顔をそむけて言いました。
「あの、また会ってくれませんか」
「それでまた会うことになったんだよ、あしたの9時に」
弾んだ声で嬉しそうに言うクロークスに、ジンジャーは
「あまり入れこまないでくださいって言いましたよね」
と、やれやれといった顔をしています。