古城の姫君
「あしたはついていきますよ」

「え?」

 クロークスが嫌そうな顔をすると、ジンジャーは

「今日だけとおっしゃいましたよ、クロークスさまが」

 と、きっぱりと言い、それを聞いたクロークスは納得のいかない顔です。

 しかし、今日の朝自分が「今日だけでいいから」とジンジャーに言ったことを思いだして、しぶしぶそれを認めました。

「その代わり近くには来るなよ」

   *

 その夜、アプリコット城の前で、カルミアは手にモップを持ち、その柄(え)の部分を地面にすべらせて、何か図形のようなものを地面に描いていました。

 アプリコット城の敷地いっぱいに描かれたそれは、大きな大きな魔法陣でした。

 魔法陣が完成すると、カルミアは息を切らし、立ち止まりました。
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