古城の姫君
「嘘をついてごめんなさい。

 私の名前はカルミア・デュオンじゃないんです。

 私の本当の名前は、リリィ・アンジェリークといいます」

 それを聞いたジンジャーの表情が変わりました。

「リリィ・アンジェリーク……。マリーベル王国の国王と名字が同じ……」

 カルミア、ではなく、カルミアと名乗っていた女性は、クロークスにふっと微笑みかけました。

「マリーベル王国の王女です。でも、もう国がないから、王女でもなんでもないんですけどね」

「……」

 クロークスは驚きのあまり、声が出ません。
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